開会式
1回戦
2回戦
3回戦
閉会式

3回戦 八戸大

北大3−4x八戸

(北)石山、浄野、杉谷、佐藤(輝)、−吉本、(八戸)佐々木、千葉、塩見−上原、川越

〜観戦記 「北大、かく敗れたり」 (準々決勝・6月11日)〜

山崎夏生@観戦記・感涙記の第3弾です。昨日の神宮での初勝利を賭けた
対八戸大戦は、まさに北大球史に残る名勝負でした。あの場に立ち会え、あ
の興奮と感動を味わえたことに深く感謝しています。一晩たった今もまだ感慨
にふけり、必死のプレーのひとつひとつを思い出すたびに涙が出るほどです。
今までに数千試合以上の野球を観てきましたが、まさに自分にとってはベスト
となる1試合でした。対戦する八戸大は近年、めきめきと力をつけてきた私学
の強豪校です。93年に一部昇格後は8度の優勝、全国ベスト4は2回で、
川島亮(ヤクルト)、青山浩二(楽天)らを筆頭に5人のプロ野球選手や社会
人野球選手を数多く輩出しています。両翼100メートルの天然芝球場、専用
の室内練習場に120人収容の合宿所も持ち、部員も甲子園球児や野球名門
校出身者ばかりです。
試合前のシートノックを見ても洗練されたグラブさばき、軽やかな足の運びなど
かなりハイレベルなのは一目瞭然でした。試合前に整列した時にはその体格
の良さにも驚きました。平均でも180cm、80キロはあろうかという大男ばかりです。
まさに大人と子供の勝負、へたするとコールドスコアでこてんぱんに叩きのめさ
れるのではないかと不安にかられました。それでも堂々と胸を張り、精一杯の
戦いを見せてくれれば・・・そんな思いでプレーボールの声を聞きました。負ける
ならば大敗、もしも勝つとすればせいぜい3点以内の接戦で、怒涛のような相手
の攻撃をどれだけしのぎ、数少ないチャンスをいかに生かすかということに尽き
ます。小兵の力士が前みつを取り、必死に頭をつけて闘い、一瞬の隙を突く
しか勝機は見えませんでした。(読売新聞写真)
試合展開はまさにそうなりました。先制されたものの、4回には四球をからめ
単打ばかりで2点を取り逆転、5回には再逆転されたもののその後は絶妙な
継投でしのぎ、8回には盗塁や犠打で2死3塁のチャンスを作りました。ここで
ついに明日の準決勝に備え温存していたドラフト候補のエースを引っ張り出した
のです。そしてリーグ戦からこの日まで48イニング連続無失点という左腕から、
奇跡とも言えるヒットを堤が放ち同点となりました。スタンドの興奮は最高潮でした。
7回からは前日100球以上投げた佐藤輝がマウンドに上がり、絶妙のコーナー
ワークで強力打線を封じていきます。しかし相手左腕の投じるストレートや鋭い
変化球にこちらも歯が立たず、延長戦となりました。ほとんどチャンスの無い中、
13回裏には2死満塁の絶体絶命のピンチ。勝負どころで送り出された代打の
切り札が放った打球は3塁線を襲い、もはやこれまでと覚悟した瞬間、木村が
横っ飛びに好捕(スポーツ報知写真)。そのままサードベースにダイビングし、ここもしのいだのです。
優勝候補の一角とも言える強豪をここまで苦しめているのです。この戦いが永遠
に続いてくれとさえ願いました。しかし、14回裏1死から2番打者の放った打球は
蒼空高く舞い上がり、無情にも右翼ポールを直撃するホームラン、4対3でのサヨ
ナラ負けとなりました。選手同様、自分も頭の中が真っ白になりへたりこんでしま
いました。でも、激闘3時間21分、よくぞ頑張りました。整列した君たちの姿はほ
とんど涙で見えませんでした。
Jスポーツで解説していた青学大・河原井監督はまさに学生野球の真髄のような
チームで、気力が素晴 らしいと語っていたそうです。試合後にネット裏で会った
球界関係者や担当審判員もベンチの元気の良さや個々のひたむきなプレーぶり
を絶賛していました。ロッカールームへ様子を覗きに行くと、残念ながら出場機会
に恵まれなかった選手たちも皆、泣いていました。まさに全員で戦った証です。
北大の最高の戦力はこの結束力だったのです。この時ほど、北大野球部OBで
あることを誇りに思ったことはありません。
全国大会での3試合、本当にありがとう。安達監督以下スタッフの皆さん、現役
諸兄、マネージャー、全国に誇れる素晴らしいチームでした。多くの国公立大
野球部にも大いなる勇気と刺激を与えたと思います。「神宮で勝つ」は組み合わせ
の妙で叶いませんでしたが、「秋も来いよ」という野球の神様の粋な計らいでしょう。

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